会長挨拶


日本インダストリアル・エンジニアリング協会 会長
 綱川 智
 (株)東芝 取締役 代表執行役社長COO

平成の30年間に世界ではグローバル化とデジタル化が進んだ結果、国をまたがるバリューチェーンの構築や人材のダイバーシティが浸透し、AIやIoT、クラウド化などの情報技術革新によりデジタルトランスフォーメーションが人々の生活まで変えました。その一方で顕在化してきた地球規模の問題に対し、国連では解決すべき17の課題をSDGs(持続可能な開発目標)として掲げ、企業もこれらの課題に対しさまざまな取り組みを始めています。未来が見通せない時代に突入したと言えるでしょう。
その中で日本の労働生産性は他国に比べて低い傾向が続いています。企業ではお客様や社会への価値提供を高め、人材を育成活用すると同時に、業務プロセス自体を効率化することで生産性改善を推し進めています。また新しいビジネス機会を求めて、顧客とともにアイディアを出していく「共創」活動にも取り組んでいます。このように日本企業が生産性と競争力向上のため企業と従業員の意識改革を進める中で、ムダを顕在化して資源の価値を最大活用するIEの見方、考え方はますます重要になっています。
日本のIEは製造業を中心に作業改善や現場改善により昭和の高度経済成長を支えてきました。今ではIEの考え方は農業、サービス業や医療・福祉といった産業・業界でも業務効率化の取組みとして拡がっています。またIEを熟知した改善人材の育成や価値提供を行う設計業務へのIE適用も推進され、さらに間接業務でもRPAを導入し自働化を進める企業が増えています。IEの拡がりの芽吹きをいろいろなところで見ることができます。
日本IE協会はその60年の歴史の中で、設立主旨である「わが国産業の生産性向上に寄与」するため、時代や経営環境に合わせて事業を行ってきました。令和という新しい時代が始まる中で、出てきたIEの拡がりの芽が確実に育ち実をつけるよう、各企業の想い取り組みを共有し、新しい発想や手法を生み出す「きっかけ」と「場」を提供していきたいと考えています。またその中で、日本経営工学会、日本技術士会 経営工学部門とも経営工学団体として連携し、企業・お客様・各団体がお互いに同じ目的に向かって響きあう中で新しい未来を作っていく「未来響創」を進めていきます。会員の皆様、関係者の皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。