会長挨拶

日本インダストリアル・エンジニアリング協会 会長
遠藤 信博
(日本電気(株) 代表取締役 会長)

今日、社会環境や経済環境がグローバルレベルで激変する中で、製造業をはじめとする日本の産業は大きな転換期を迎えています。グローバル市場への対応力を高める上で、日本のものづくり基盤の維持・強化は重要な課題です。たとえば、2年前の東日本大震災では、日本の優れた工業製品が世界のものづくりに欠かせない存在であったことが改めて認識されました。先端的な技術、製品、サービスを産み出し、海外でのものづくりに必要な人材を育成するためにも、日本のものづくり基盤は今後も重要な役割が期待されていると考えています。日本IE協会も、会員企業が真の競争力を強化し、新しい時代に向けて変化し続けていけるように、「新たなIE」を推進・発展させていきたいと考えています。

IEは、元来、仕事のやり方や時間の使い方を工夫して豊かで実りある社会を築くことが使命です。このために、仕事に潜むムダを顕在化させ、最小化すること、その仕事の価値を最大限に引き出す動作・作業の見方や考え方と、それらを実現するための普遍的な技術体系であると言えます。IEは1人の作業者の1作業の1動作を改善する手法を提供するだけでなく、職場全体の改善や企業目標達成に要する全ての活動の改善に寄与できます。ですからIEはサービス産業、農業、公共団体や家庭生活など、他の領域においても活用できるものです。

たとえば、流通業、保守サービス、医療、ホテルなどの領域では、既にIEを活用して生産性や品質を向上させ成果を上げている事例もあります。また、農業ではクラウドを活用することで、収穫量増加や品質安定化を実現するとともに、蓄積した生産ノウハウを就農促進・継承に役立てる挑戦が始まっています。日本IE協会が2011年4月に日本生産性本部と事業統合したことで、サービス産業や中小企業にアプローチがしやすくなりました。日本生産性本部との連携を更に深めて、製造業とサービス産業が学び合う、大企業の改善事例を中小企業に横展開するなどの面で成果を出していきたいと考えています。

日本IE協会は、人の営みである企業・団体の各現場やマネジメント領域の価値を最大化するIEの普及を通して、製造業だけでなくサービス業を含む日本産業全体の競争力強化に貢献してまいります。