IEレビュー219号 特集記事の概要

●特集テーマ 循環型生産システム実現に向けて

【論壇】 循環型生産システム実現のための課題

ここでは梅田氏に、単なる概念の紹介にとどまらず、循環型生産システムのあるべき姿とそのための技術課題についてまとめていただいた。特に循環型生産システム構築のポイントとして、製品の回収・リサイクルという問題を新たなビジネスチャンスとして捉えなおすインセンティブの必要性を強調されている。循環型生産システムの究極の姿を「無理のない」循環と称され、現在の生産システムを「無理のない」循環型生産システムへとソフトランディングするための道筋の構築がもっとも重要な課題であるとまとめられている。また、技術的課題としては「企業・ユーザーともに利益を得られるようなビジネス戦略の策定」「製品ライフサイクルの設計」「循環させるための製品ライフサイクルの管理」の3点を挙げられている。環境問題を、「社会的責任」といった感情論で捉え、「たとえ損をしてもやらなければならないもの」という立場にたった論点ではなく、もっと冷静に資源循環システムを分析し、上記で挙げられた3つの課題はいずれも解決不可能ではないことを示唆され、循環型生産システムの実現が不可能ではないことを主張されている。

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【ケース・スタディ】 限りなく廃棄ゼロをめざして

富士ゼロックスでは、「ものの提供から機能の提供へ」という思想に基づいて、海老名工場における複写機のクローズドループシステムの構築事例を紹介している。このシステムでは、ゼロックスが長年つみあげた顧客データをフルに活用して、回収も生産システムに取り入れ、リサイクルパーツを使用しても新造部品を使用した場合と同様の品質を維持できる生産ラインを構築している。まさに「循環型生産システム」の成功事例といえる。

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【ケース・スタディ】 循環型生産システムへの取り組み

トヨタ自動車では、21世紀を迎えるにあたって「トヨタ地球環境憲章」を改定し、「事業活動のすべての領域を通じてゼロエミッションに挑戦」することを宣言している。本稿では、その一環として’00年12月に実現した埋め立て廃棄物ゼロ実現のプロセスと焼却廃棄物ゼロヘの取り組みについて述べられている。大きな特徴は「トヨタ生産システムの追求とゼロエミッションへの挑戦の一体化」という思想である。この思想を末端の社員一人一人に浸透させるトップの強いリーダーシップが短期間に成果を上げた要因であるとされており、トヨタ自動車らしいスタイルがまとめられている。

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【ケース・スタディ】 循環型社会実現をめざす環境経営の実践

リコーでは’94年に循環型社会の概念図として「コメットサークル」を提案している。この概念に基づき、環境保全と経済価値を追求する経営を同軸のものとして経営全体に環境を取り入れた活動を展開している。特に部門評価に環境要因を取り入れていることが特徴で、本稿では、沼津事業所における事例を中心に環境負荷削減のプロセスが述べられている。ここでは環境会計といった視点を有効に活用し、「環境経営」実践への方向性が示唆されている。

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【プリズム】 塩化ビニル高炉原料化プロジェクト
【プリズム】 資源循環型社会の構築に向けた 北九州エコタウン事業の取り組み
【プリズム】 志高い環境哲学と実利主義で世界の先端を行くドイツの環境対応
【プリズム】 LCAソフトウェアを活用した自動車部品のリサイクル事例

本号から新しく登場した記事で、特集テーマに対して従来の企業事例という枠組みにとらわれない、いろいろな角度からの事例を紹介するものである。まずプラスチック処理推進協会の事例は、廃プラスチックの再商品化手段に関する共同研究を行ったものである。循環型社会促進のために、廃棄物の再資源化がひとつのテーマであるが、企業と公益団体の協力というひとつのスタイルのモデルといえる。次に、北九州市役所におけるエコタウン事業と環境問題への取り組みに関して世界の最先端を行くドイツの事例を紹介している。いずれも行政の立場というまったく異なった視点ではあるが、環境問題が一企業だけで解決するものではなく、社会全体で取り組む必要性があるということを感じさせる。また、東芝エンジニアリングの事例では、環境負荷を定量的に測定するためのLCAソフトウエアの紹介である。環境問題はビジネスになるといわれているが、まだまだ成功事例は少ないのが現状である。そんななかで、かなり実用性の高いソフトウェアとして今後の展開が期待される製品である。

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