IEレビュー305号 特集記事の概要

●特集テーマ これからのIE活動を進めるための人材育成

【論壇】 これからのIE活動を進めるための人材育成

高砂香料西日本工場の川村秀樹氏に、「これからのIE活動を進めるための人材育成」と題して執筆いただいた。IoT導入によるIE 活動の変化やIE教育のあり方が述べられている。
日本のものづくりの強さは、製造以外の部門も現場視点や現場感覚を身につけていることによって生じる現場力が源泉となっており、特に現場の「モラール」が生産性向上の鍵になっている。現場力やモラールには現場の人の育成が大切であるが、その際にOJTにIEを組み込むのが特に中小企業にとっては進めやすい。その際IE教育を効果的なものにするためには、意欲のある受講者の選定が大切であり、例えば、5S活動を社内で展開していく中で人材の見極めをすることができる。
ものづくりを取り巻く環境が変わっても、現場を動かし改善していくのは人やモラールであることは変わらず、IEを進める人材育成の基本も従来とは変わるべきではないという論旨は、今後のIE人材育成に対して1つの大切な指針を与えている。

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【ケース・スタディ】 IoT活用による社内変革と人材育成

i Smart Technologies/旭鉄工の木村哲也氏に「IoT活用による社内変革と人材育成~ 80ラインの出来高を34%向上し年間1 億円の労務費節減~」と題して執筆いただいた。中小企業でも実施できる現場でのIoT活用と、これを起点とした現場改善の具体例と成果がまとめられている。
現場問題点の洗い出しに際して、トヨタ生産方式で使われる「生産管理板」をどうやれば負荷を掛けずに作成できるか、という考えが旭鉄工改善のきっかけとなった。データの取得を自動でできないかと考え、汎用センサーと無線データ転送を使った「サイクルタイムモニター」というシステムを手作りした。これを活用し、毎日現場で社長も参加する「ラインストップミーティング」を開催し、設備停止の問題を1つずつ解決していった。
IoT化により小さな改善でもすぐに成果が確認できるため、改善の積み上げが進み、生産性改善やコスト削減という大きな成果、さらには現場人材の育成や意識改革・風土改革につながっている。
「データで人の力を引き出す」という考え方に基づき簡単な仕組みで安価にIoTを構築し、成果に結びつけている点は、現場へのIoT導入を検討している多くの企業にとって参考になる。

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【ケース・スタディ】 部課長向けIE研修

東芝の伊藤由仁氏に「部課長向けIE研修~課題発見力とIE人財活用をねらった気づき研修~」と題して執筆いただいた。2005年から継続育成しているIEインストラクターをさらに活躍させること、現場での課題発見力を強化することの2つをねらいとして実施している部課長向けIE研修の紹介である。
IE研修と言いつつ、IE知識の教育は多く行わず、現場見学、現場実習、グループ討議や講話を多用し、それぞれでの気づきや研修期間中の人脈形成を主なねらいとしている。
最終日に役員の前で実施する決意表明を起点として、研修後に自職場のIE人財を活用した改善活動体制構築、そして、改善実行までの流れを受講生に示しながら、研修での学びを改善・改革に繋げる取り組みは、企業内研修のモデルともいえる。
半導体から発電設備まで多様なモノづくりをしている拠点から受講生が集まり議論していく中で、モノづくりをより俯瞰的に見ることができるようになる点は参考になる。日本IE協会としても、多彩な受講生が刺激しあう異業種交流の企画のベースになる研修紹介である。

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【ケース・スタディ】 IEr養成講座の変遷

成蹊大学の渡邉一衛氏と福島大学の筧宗徳氏に「IEr養成講座の変遷~日本IE協会におけるIEr養成講座の20年を振り返る~」と題して執筆いただいた。日本IE協会で20年間実施してきたIEr養成講座の変遷をまとめた内容である。
まず1988年に初級・中級・上級の3段階のIEr養成コースを設計した。動作分析と工程分析を5~6名のグループで分析・検討していく初級IEr養成コースの流れは、現在の研修にも踏襲されているが、一方、より幅広い内容とした中級コースは、応募人数が集まらず未開催、工場レベルの問題解決力を身につける上級コースは、1回の開催のみとなった。これを受けて2002年に全体を「入門コース」と「実力養成コース」の2コースにまとめ直した。
年2回開催する「IEr養成入門コース」では小演習を多用し、基礎的なIE 分析手法を4、5名のグループに別れて学んでいく。
また「IEr養成実力養成コース」では、IEの理論体系から入り、IE手法、生産管理の技法を学び、現場改善における意思決定力向上をねらっている。研修のねらい、コンテンツ、日数など研修の形を試行錯誤してきた様子が分かり、現在の研修には実践的IEr育成方法の1つの雛形を見ることができる。

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【プリズム】 人材から人財への深化

トヨタ紡織の高瀬成幸氏に「人材から人財への深化」と題して執筆いただいた。2011年に設立された「技能育成センター」での教育内容を紹介している。
5つのミッションである、(1) 安全行動のできる人財の育成、(2) 強い管理・監督者の育成、(3) 極めたモノづくり、(4) 保全力の強化、(5) 核となる若手人財の育成、に対してそれぞれ実施している教育内容を紹介している。
入社から退職までのライフワーキングプランの各段階に対して準備された研修を通じて「人材を人財に育てる」技能者育成の取り組みは、現場人財育成の製造業の人づくりとして大いに参考になる内容である。

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【プリズム】 つながる工場実現をめざすIVI

インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブの高鹿初子氏に「つながる工場実現をめざすIVI」と題して執筆いただいた。インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)は、人を起点としたIoTで、つながる工場を実現するための企業連携の仕組み作りをサポートしている。会員数は現在600名超である。改善する業務のテーマに応じてワーキンググループを作り、企業間で共通している課題に対して、IoTの活用などで効率化を図るシナリオ作りの活動が行われている。IVIのホームページには、活動状況の他に、公開シンポジウム(活動の成果を会員以外とも年2回共有)などの情報が公開されているので、参照いただきたい。

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