IEが奏でる未来響創 日本IE協会年次大会2026 多様な力が織りなす、新たな価値づくり
IEが奏でる未来響創 日本IE協会年次大会2026 多様な力が織りなす、新たな価値づくり

講演詳細

全体会議

 特別講演1

日本のモノづくりを再設計する

―Japan as No.1のその先へ―

大木 清弘 氏
大木 清弘 氏
東京大学大学院 経済学研究科 准教授
かつて世界を席巻した日本のモノづくり産業には悲観論が渦巻いている。しかし一方で、日本のモノづくり産業は今なお一定の競争力を持ち、経済安全保障の観点からも重要性を増している。衰退か再生か―日本のモノづくり産業は重要な岐路に立たされていると言えよう。
本講演の目的は日本のモノづくりの未来に関する議論を活発化させることにある。まず、日本の製造業の現在地を確認し、戦後の強さを支えた現場力、人材育成、サプライヤーとの関係、戦略を振り返る。そのうえで、強みが弱まったのかを考察し、これから残すべきものと変えるべきものを議論する。「Japan as No.1」を過去の栄光で終わらせず、日本のモノづくりの現実的な未来を展望する。

【略歴】

東京大学経済学部卒、東京大学大学院経済学研究科 修士・博士課程修了。博士(経済学)。関西大学商学部助教、東京大学大学院経済学研究科講師を経て現職。専門は国際経営、国際人的資源管理論、ものづくり経営論。
主な著書:『多国籍企業の量産知識:海外子会社の能力構築と本国量産活動のダイナミクス』(有斐閣, 2014年)(国際ビジネス研究学会「学会賞(単行本の部)」受賞)、『新興国市場戦略論:拡大する中間層市場へ・日本企業の新戦略』(共編著)(有斐閣, 2015年)、『コアテキスト国際経営』(新世社, 2017年)など。
 特別講演2

「 作り方を作る 」

佐藤 雅彦 氏
佐藤 雅彦 氏
東京藝術大学 名誉教授
表現研究者/クリエイティブディレクター
私たちは日々、製品やサービスを作り、そのための仕組みづくりや体制づくりにも取り組んでいます。
本講演では、「 作り方を作る 」という視点から、新しい価値を生み出す発想や思考法について考えます。
「どうしたら、それが伝わるか」というテーマに、テレビ番組、CM、ゲーム、教育など、分野を横断した数々の表現活動を研究・展開してきた佐藤雅彦氏。
独自の表現活動を通じて培われた発想や思考のプロセスについて、お話しいただきます。

【略歴】

1954年、静岡県生まれ。東京大学教育学部卒。慶應義塾大学環境情報学部教授を経て、現在、東京藝術大学名誉教授。
専門は、教育方法と表現方法。「どうしたら、それが伝わるか」をテーマに、映像・アニメーション・グラフィックデザインにおける新しい表現手法を開発。
認知科学の知見を基とした表現の研究や数理概念の可視化の開発など、分野を超えた活動を行っている。
主な著書に、『解きたくなる数学』、『経済ってそういうことだったのか会議』、『考えの整頓』、『もぐらバス』など。
NHK 教育テレビ『ピタゴラスイッチ』や『だんご3兄弟』、Play Station のゲームソフト『I.Q』の企画制作など、分野を越えた独自の活動を続けている。
2011 年 芸術選奨受賞、2013 年 紫綬褒章受章、2014年、2018 年 カンヌ国際映画祭短編部門正式招待。
2025 年、横浜美術館で回顧展「佐藤雅彦展」が催され、来場者は28 万人を記録した。

事例発表会

第1分科会

「デジタル技術の活用」

AI x DXで描く未来工場

パナソニック ホールディングス㈱

勘や経験に頼らない「設計AI」によるモノづくり変革への挑戦

太田 智浩 氏
太田 智浩 氏
パナソニック ホールディングス株式会社
プロダクト解析センター デバイス・空間ソリューション部 部長
  • モノづくりの現場における課題
    人手不足や設計課題などから今後についてご提案
  • 設計AIによる設計の自動化と高度化
    シェーバ向けリニアモータなど適用事例をご紹介
  • 設計AIの普及に向けて解決すべきこと
    経済的、技術的、社会的な3つの壁について議論

【略歴】

  • 1999年 旧松下電工株式会社入社 解析技術研究所に配属
  • 2001年 産業技術総合研究所出向(NEDOプロ)
  • 2007年 株式会社松下電工解析センター出向
  • 2016年 パナソニック株式会社 プロダクト解析センター
主として電磁界数値解析、電磁応用デバイスの研究開発に従事、現在に至る。
2012年から大阪大学招聘教員を兼務。工学博士。
ヤマハ発動機株式会社

現場サイエンティストによる業務プロセス革新

~過去の後始末から未来創造へ時間シフト~

茨木 康充 氏
茨木 康充 氏
ヤマハ発動機株式会社 執行役員 生産技術 本部長
  • 現場経験と直感で因果を推測し、デジタルで仮説検証・形式知化できる人材「現場サイエンティスト」を育成
  • 過去のトラブル対応時間を削減し、人材育成や良品条件探索など未来志向の業務へ転換
  • “人”の価値を中心にした取り組みを紹介し、当日は現場サイエンティスト本人の活動報告も実施

【略歴】

  • 1999年3月 慶応義塾大学修士課程卒業 同年4月ヤマハ発動機に入社
  • 製造技術部門、海外生産企画部門を経て2007年よりインド現地法人に出向し生産企画 兼)事業企画業務に従事
  • 2013年日本帰任後、生産課長、SCM管理部門グループリーダーを経て2018年から製造DX技術開発に携わる
  • 2019年より設備技術部長を経て2025年3月 執行役員 生産技術本部長に就任、現在に至る"
三菱電機株式会社

未来工場は“無人化”の前に何をすべきか?

IE×データ×AIで進める、人と設備の段階的DX

上大田 孝 氏
上大田 孝 氏
三菱電機株式会社 名古屋製作所 生産システム推進部 部長
  • 無人化工場を理想像に置きつつ、多品種・人作業が残る現場の実態を踏まえた、設備・人・工程を段階的につなぐAI活用の道筋
  • 設備データだけでなく作業者の動き・習熟・判断を自動取得し、入力負荷を増やさず継続的に蓄積できる仕組み
  • IE手法によるデータ分析やムダ取りとAI活用による更なる改善サイクル高速化と安全・セキュリティの両立

【略歴】

  • 2013年に経験者採用で三菱電機株式会社入社。生産技術センターへ配属。
  • 社内製作所や協力会社の現場改善支援やIE手法の社内講師に従事。
  • 2017年に本社生産技術部へ異動。改善活動の企画や技術分科会活動に従事。
  • 2020年に生産技術センターへ帰任(課長職)。
  • 2024年に名古屋製作所生産システム推進部へ異動、2026年より現職。
トヨタ自動車株式会社

楽しむ挑戦がモノづくり現場の文化になる
人が主役のデジタル化 その現在地

吉田 保正 氏
吉田 保正 氏
トヨタ自動車株式会社 田原工場 エンジン・BEV製造部 グループ長
  • 「モノづくり現場らしいデジタル活用の姿」を模索。「現場のリアルを知っている自分たちだからこそ自分たちに適したデジタル文化を作れる」が信念
  • 現場に根付くデジタル活用の鍵は、仲間への寄り添い、心理的安全性、学びの機会、そして、楽しく挑戦できる空気の醸成
  • 事例を通して紹介するのは、デジタルツール導入の話ではなく、取り組むメンバーのマインドと関係する人たちの行動の軌跡

【略歴】

  • 1990年3月 京都工芸繊維大学卒業、当時の専攻は電気電子系工学
  • 同年4月 トヨタ自動車株式会社に入社
  • 担当業務は、入社以来、自動車用エンジンの製造技術を中心に、専ら「機械系」の領域
  • 一方でデジタル技術への関心も強く、改善手法としてのデジタル要素技術の活用に積極的に取り組む
  • この数年は、モノづくり現場のデジタル活用の姿を、想いを共感するメンバー達と探究
第2分科会

「拡がるIE」

新たな貢献の場を探る

医療法人王子総合病院

課題の見える化による壁の解消

連携の壁に着目して

會津 圭崇 氏
會津 圭崇 氏
医療法人王子総合病院 医療技術部 リハビリテーション科
  • QCサークル「Team Progress」のマネジメント
    • 専門職の価値観の違いから生まれる壁
    • QCサークルがなぜ形骸化しなかったのか
  • 具体的な活動内容
    • どのような課題を掲げ、成果が出たか
    • 苦労した点
  • 課題の共有=「共にみるもの」で、壁を乗り越える
    • 課題共有から生まれる、仲間に対する理解と信頼
    • 組織の成長に、QCサークルがどのように貢献するか
    • QCサークルを通して新たに見えた課題、現在のTeam Progress

【略歴】

2005年4月 医療法人 王子総合病院医療技術部リハビリテーション科 入職
  • 2020年9月 同院同部同科 主任
  • 2021年8月 同科でQCサークルのリーダーを務める。(2024年まで)
  • 2024年3月 品質管理検定3級合
  • 2024年9月 同院同部同科科長代
現在に至る
全日本空輸株式会社

新規事業創出から次世代リーダー育成へ ~ANAが歩む「全員参加の価値創造」への軌跡~

社内新規事業提案制度「がっつり広場」を通じた「小さな成功体験」の創出と「伴走型」支援

中浦 聡美 氏
中浦 聡美 氏
全日本空輸株式会社 人事部 人財大学 変革塾 リーダー
  • 人事部が牽引する「新規事業」と「変革」とは(背景と変遷)
  • 挑戦のハードルを下げる社員提案制度「がっつり広場」の仕組み
  • 「伴走」の真髄:物理的にも心理的にも孤立をふせぐ
  • 「人」の強みが活きた多様な価値創造の具体的成果の実例紹介
  • 組織全体への波及:「変革リーダー」の育成

【略歴】

  • 2006年4月 ANAセールス九州株式会社(現 ANAあきんど株式会社)入社
    営業部門、地域創生、HR(総務・人財育成)、経理に従事
  • 2023年4月 全日本空輸株式会社 出向
    CX推進室 業務推進部 価値創造チーム マネジャー
  • 2025年4月 同社 人事部 ANA人財大学 変革塾 マネジャー
  • 2026年4月 同部署 リーダー(現在に至る)
第3分科会

「人財力 x 現場力」

持続可能で競争力のある現場創り

株式会社 増田桐箱店

伝統的な桐箱の持続可能なものづくり

ニッチな桐箱が狙う世界と戦うカギは地域の力の結集とデジタルのハイブリッドで!

藤井 博文 氏
藤井 博文 氏
株式会社 増田桐箱店 代表取締役
  • 桐以外の素材と家業の技術の融合で「桐箱で日本一」から「木で四角いもの 日本一へ」、「待ち工場」から仕事を狙う「町工場」へ。
  • 職人の技、日本の文化、伝統工芸からニッチ市場「世界で一番環境にいい木材」 で世界へ挑む。
  • 桐箱を作る上で材料としての地域貢献、加工をする上で多様な人材とものづくり、 そして地域から必要とされるもの作りにデジタルを加え、域内のものづくりの活性化に尽力。

【略歴】

  • 2007年04月 株式会社 増田桐箱店(福岡県)へ入社
  • 2012年10月 代表取締役に就任
  • 2014年 桐箱の加工技術をいかしてkirihaco」ブランドを立ち上げその後海外展開などを含め今にいたる。
  • 2025年05月 台東区の『2k540』に増田桐箱店東京店を出店
  • 2025年12月 一般社団法人ハコタスを起業
  • 2026年04月 一般就労支援事業所ハコタス立ち上げ
東芝産業機器システム株式会社

歴史ある工場を未来に繋ぐ! 三層構造の改善活動

5Sで活動の土台をつくり、小集団活動で自職場を改善、CFTで重点課題を解決

下津 久明 氏
下津 久明 氏
東芝産業機器システム株式会社 生産製造技術センター シニアマネジャー
  • 5S × IEによる改善リーダー育成:各職場からリーダー候補であり、改善意識の高い中堅社員を選出し、2年間で教育と実践を通じて改善リーダーを育成。
  • 技能職場のデジタル化によるモノづくり革新:事業所内で推進している取り組み事例の紹介。
  • グローバル連携によるモノづくり力強化事例:海外現地法人への技術支援、人財育成を継続的に実施。結果、弊社に続き、ベトナム現地法人も一般社団法人から顕彰を受賞。

【略歴】

  • 1990年、東芝FAシステム(株)に入社。生産技術者として工程設計、工程改善、社内設備開発に従事
  • 2007年、現 東芝産業機器システム(株)に転籍
  • 2013年、東芝グループ IEインストラクタ認定
  • 2019年、業務変革支援プロジェクへ異動。安全、品質、生産性向上の改善活動に従事
  • 2024年、上記プロジェクトにより、日本能率協会 GOOD FACTORY賞 ファクトリーマネジメント賞を受賞し、講演メンバーとして登壇
日本電気株式会社

人と現場が紡ぐ課題解決と価値創造

気付き・考え・行動する人づくりが未来を創る

山﨑 誠 氏
山﨑 誠 氏
日本電気株式会社 サプライチェーンプラットフォーム統括部 シニアプロフェッショナル
  • 現地現物を基本に、「気付き・考え・行動する」実践を通じて、変化に対応できる課題解決力を備えた人財を育成する。
  • 2004年から継続するNEPS自主研の実践を通じて、IEの原理原則を継承しながらDX・AIを融合し、ものづくり革新を進化させる。
  • 現場で培った課題解決の知見を社内外へ展開し、お客様や社会の発展に貢献する価値創造へつなげる。

【略歴】

  • 1999年より、NECグループの海底から宇宙までの高信頼性製品、デバイス、大型コンピューターなど多様な製品領域において、国内外の工場および協力会社に対しQCD競争力強化に向けた生産革新活動を推進・指導。
  • 2004年より、人財育成の一環として、工場の重点課題解決、QCD競争力強化、リーダー育成を目的とした実践型訓練「NEPS自主研」を立ち上げ、約300回にわたり運営・指導を継続。
  • 2021年からは若手営業社員向け「ものづくり革新教育」を開始し、現在も継続。
  • 2026年より、日本IE協会公開講座『工場が変わる!「生産革新」流れづくり・人づくりセミナー』の講師を務めている。
株式会社 樋口製作所

試行錯誤から見えたDXの本質

現場とIT技術をつなぐブリッジエンジニアの活躍

石田 清孝 氏
石田 清孝 氏
株式会社 樋口製作所 常務執行役員
  • 現場の課題を深く理解した人材がデジタル技術を学び、ブリッジエンジニアとして大切にしてきたもの
  • 現場にある課題起点でシステム設計を行い、現場のユーザーに寄り添ったシステム開発による成果
  • 現場の課題に対しデジタル技術で「本当の解決策」のアイデアを出し、全社で取り組んできたDX事例の紹介

【略歴】

  • 1992年株式会社HIGUCHI入社 以来25年以上、技術部門にて金型技術の深化を担う
  • 2006年アメリカ工場立ち上げ主導(グローバル展開の第一段階を推進)、2013年メキシコ工場立ち上げ主導
  • 2020年情報システム管理部を新設し、DX戦略を全社的に牽引
  • 2022年樋口デジタルソリューションズを立ち上げ
  • 現在は、現場ノウハウ基盤のDX推進伴走支援を展開中。理論先行ではない、製造業による製造業のためのコンサルティングを実施