会長挨拶



日本インダストリアル・
エンジニアリング協会 会長
東原 敏昭
(株)日立製作所
取締役会長 代表執行役
2020年の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行を契機に、グローバルレベルで人々の暮らしや働き方は劇的な変貌を遂げました。人々の移動が大幅に制限され、リモートワークやEコマースなどが浸透し「新常態」の社会が確立されつつあります。

一方で、日本政府は、2050年までに「温暖化ガス排出量の実質ゼロ」の実現を宣言しました。また、2021年11月に英国・グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に向け、世界中で脱炭素社会実現を目指したさまざまな政策提言や国家レベルでの議論が行われています。企業が取り組むべき社会課題や環境課題も、日を追うごとにその意義が増大し、産業界全体への期待も高くなってきています。

IEとは価値とムダを顕在化させ、資源を最小化することでその価値を最大限に引き出そうとする見方・考え方であり、それを実現する技術です。我々を取り巻く社会や環境が大きく変わっても、日本IE協会が長きにわたり取り組んできたIEは「あるべき姿」を教えてくれるエンジニアリングで、不変の原理・原則です。持続可能な社会の実現にむけた努力は、既に国や地域の枠を超えた世界共通のアジェンダとなっています。国際連合が提唱するSDGsの達成に向け、我々はIE活動を従来以上に広い視点、長期的視野で進める必要があります。

さらに、世界的に加速しているデジタルトランスフォーメーション(DX)は、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることを可能としました。IEもデジタル技術を応用することにより高度化し、インダストリアル領域に限らず、さまざまな領域に拡張することで、新たな価値を生み出し、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
     
今後も日本IE協会は、「IEの啓発と普及を図り、人財育成及び生産性向上に貢献する」という考えのもと、我が国産業の生産性向上と経営合理化に貢献していきます。IE協会の活動へご参加いただくさまざまな産業分野の皆様におかれましては、なお一層のご支援、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。